24 10月

ミニカーの法的根拠


公道を走れるX-Kartをはじめとするミニカーは、法律上ではどのように扱われているのか。
実は法律によって「原動機付自転車」として扱われたり、「自動車」として扱われたりする存在なのです。
そんなミニカーをとりまく法律的な環境を読み解いていこうと思います。

まず、車両の保安基準を定めている法律である道路運送車両法から見てみましょう。
道路運送車両法第二条第2項で自動車を、第3項で原動機付自転車を定義しています。
自動車の定義を見ると、原動機付自転車以外のものとされていますので、原動機付自転車を調べていきます。
その次の第3項で原動機付自転車について定義されています。

道路運送車両法(昭和二十六年六月一日法律第百八十五号)
第二条 (定義)
2  この法律で「自動車」とは、原動機により陸上を移動させることを目的として製作した用具で軌条若しくは架線を用いないもの又はこれにより牽引して陸上を移動させることを目的として製作した用具であつて、次項に規定する原動機付自転車以外のものをいう。
3  この法律で「原動機付自転車」とは、国土交通省令で定める総排気量又は定格出力を有する原動機により陸上を移動させることを目的として製作した用具で軌条若しくは架線を用いないもの又はこれにより牽引して陸上を移動させることを目的として製作した用具をいう。

原動機付自転車とは「国土交通省令で定める総排気量又は定格出力を有する原動機」を持っている車のようです。
道路運送車両法施行規則第一条を見てみましょう。

道路運送車両法施行規則(昭和二十六年八月十六日運輸省令第七十四号)
(原動機付自転車の範囲及び種別)
第一条  道路運送車両法 (昭和二十六年法律第百八十五号。以下「法」という。)第二条第三項 の総排気量又は定格出力は、左のとおりとする。
一  内燃機関を原動機とするものであつて、二輪を有するもの(側車付のものを除く。)にあつては、その総排気量は〇・一二五リツトル以下、その他のものにあつては〇・〇五〇リツトル以下
二  内燃機関以外のものを原動機とするものであつて、二輪を有するもの(側車付のものを除く。)にあつては、その定格出力は一・〇〇キロワツト以下、その他のものにあつては〇・六〇キロワツト以下
2  前項に規定する総排気量又は定格出力を有する原動機付自転車のうち、総排気量が〇・〇五〇リツトル以下又は定格出力が〇・六〇キロワツト以下のものを第一種原動機付自転車とし、その他のものを第二種原動機付自転車とする。

道路運送車両法施行規則では、原動機付自転車としては、2輪車(側車付を除く)の場合で排気量125cc以下(定格1kw以下)、側車付など2輪車以外の場合で50cc以下(600w以下)という基準になります。
つまり、X-Kartのようなミニカーは、50cc以下のエンジンを積んでいるので、道路運送車両法では原動機付自転車(第一種原動機付自転車)となります。

ミニカーは、道路運送車両法では原動機付自転車なので、当然に車検がありません。
車庫証明も必要ありません。市役所や区役所など管轄している役所に届け出をすればナンバーが交付されます。
保安設備も原動機付自転車に準じることになるので、シートベルトも必要ありません。
そして、原動機付自転車なので、自賠責保険には加入が必須となります。

ところが、一般道である公道を走っているミニカーには、原動機付自転車としてのルールが適応されません。
それは、法律によってミニカーが原動機付自転車に分類されたり、自動車に分類されてしまうからなのです。

公道を走るための法律は、道路交通法によって定められています。
道路交通法では、ミニカーはどのように扱われるのでしょうか。
道路交通法の第二条九項に自動車、第二条十項に原動機付自転車の定義があります。

道路交通法(昭和三十五年六月二十五日法律第百五号)
第一章 総則
第二条(定義)
九  自動車 原動機を用い、かつ、レール又は架線によらないで運転する車であつて、原動機付自転車、自転車及び身体障害者用の車いす並びに歩行補助車その他の小型の車で政令で定めるもの(以下「歩行補助車等」という。)以外のものをいう。
十  原動機付自転車 内閣府令で定める大きさ以下の総排気量又は定格出力を有する原動機を用い、かつ、レール又は架線によらないで運転する車であつて、自転車、身体障害者用の車いす及び歩行補助車等以外のものをいう。

自動車の定義をみると、原動機付自転車以外のものとあるので、先に原動機自転車について読んでいきます。
今度は、「自転車以外であること」、「身体障害者用の車いす以外であること」「歩行補助車等以外であること」が要件です。
道路交通法第二条十一の二、道路交通法第二条十一の三を読んでいきます。

道路交通法(昭和三十五年六月二十五日法律第百五号)
第一章 総則
第二条(定義)
十一の二  自転車 ペダル又はハンド・クランクを用い、かつ、人の力により運転する二輪以上の車(レールにより運転する車を除く。)であつて、身体障害者用の車いす、歩行補助車等及び小児用の車以外のもの(人の力を補うため原動機を用いるものであつて、内閣府令で定める基準に該当するものを含む。)をいう。
十一の三  身体障害者用の車いす 身体の障害により歩行が困難な者の移動の用に供するための車いす(原動機を用いるものにあつては、内閣府令で定める基準に該当するものに限る。)をいう。

自転車は「人の力により運転する」と規定されているので、いわゆる「ミニカー」では該当しません。
つまり、ミニカーは自転車ではないことが確認できました。
身体障害者用の車いすは、「身体の障害により歩行が困難な者の移動の用に供するため」と規定されているので、いわゆる「ミニカー」では該当しません。つまり、ミニカーは、身体障害者用の車いすでないことが確認できました。
そして、最後の歩行補助車等に関してですが、さきほどの道路交通法第二条第九項の中で定義されていました。

道路交通法(昭和三十五年六月二十五日法律第百五号)
第一章 総則
第二条(定義)
九  自動車 原動機を用い、かつ、レール又は架線によらないで運転する車であつて、原動機付自転車、自転車及び身体障害者用の車いす並びに歩行補助車その他の小型の車で政令で定めるもの(以下「歩行補助車等」という。)以外のものをいう。

歩行補助車等は、「歩行補助車その他の小型の車」で「政令で定める」と規定されています。
それでは、道路交通法施行令第一条をみてみます。

道路交通法施行令
(昭和三十五年十月十一日政令第二百七十号)
第一章 総則
(歩行補助車等)
第一条  道路交通法 (以下「法」という。)第二条第一項第九号 の歩行補助車等は、歩行補助車及びショッピング・カート(これらの車で原動機を用いるものにあつては、内閣府令で定める基準に該当するものに限る。)とする。

歩行補助車等とは、歩行補助車とショッピングカートをさしていることがわかります。
いわゆるミニカーはどちらにも該当しないので、歩行補助車等ではないことがわかります。
ちなみに、原動機を用いる歩行補助車等というのは道路交通法施行規則第一条に規定されています。

道路交通法施行規則(昭和三十五年十二月三日総理府令第六十号)
第一条(原動機を用いる歩行補助車等の基準)
道路交通法施行令 (昭和三十五年政令第二百七十号。以下「令」という。)第一条 の内閣府令で定める基準は、次に掲げるとおりとする。
一  車体の大きさは、次に掲げる長さ、幅及び高さを超えないこと。
イ 長さ 百二十センチメートル
ロ 幅 七十センチメートル
ハ 高さ 百九センチメートル
二  車体の構造は、次に掲げるものであること。
イ 原動機として、電動機を用いること。
ロ 六キロメートル毎時を超える速度を出すことができないこと。
ハ 歩行者に危害を及ぼすおそれがある鋭利な突出部がないこと。
ニ 歩行補助車等を通行させている者が当該車から離れた場合には、原動機が停止すること。

これで、ミニカーは「自転車」でも「身体障害者用の車いす」でも「歩行補助車」でもないことがわかりました。
道路交通法の第二条九項に自動車、第二条十項に原動機付自転車の定義を確認してみます。

道路交通法(昭和三十五年六月二十五日法律第百五号)
第一章 総則
第二条(定義)
九  自動車 原動機を用い、かつ、レール又は架線によらないで運転する車であつて、原動機付自転車、自転車及び身体障害者用の車いす並びに歩行補助車その他の小型の車で政令で定めるもの(以下「歩行補助車等」という。)以外のものをいう。
十  原動機付自転車 内閣府令で定める大きさ以下の総排気量又は定格出力を有する原動機を用い、かつ、レール又は架線によらないで運転する車であつて、自転車、身体障害者用の車いす及び歩行補助車等以外のものをいう。

つまり、原動機付自転車か、自動車に該当することがわかります。
そして、自動車の規定に「原動機付自転車」でないこととあるので、原動機付自転車でなければ自動車ということになります。原動機付自転車であるためには、「内閣府令で定める大きさ以下の総排気量又は定格出力を有する原動機」を用いていることが要件です。
では、内閣府令である道路交通法施行規則(昭和三十五年十二月三日総理府令第六十号)を読み解きます。

道路交通法施行規則
(昭和三十五年十二月三日総理府令第六十号)
第一章 総則
(原動機付自転車の総排気量等の大きさ)
第一条の二  道路交通法 (昭和三十五年法律第百五号。以下「法」という。)第二条第一項第十号 の内閣府令で定める大きさは、二輪のもの及び内閣総理大臣が指定する三輪以上のものにあつては、総排気量については〇・〇五〇リツトル、定格出力については〇・六〇キロワツトとし、その他のものにあつては、総排気量については〇・〇二〇リツトル、定格出力については〇・二五キロワツトとする。

「二輪のもの及び内閣総理大臣が指定する三輪以上のものにあつては」との規定があります。
それでは、総理府告示第48号を読み解いていきます。

総理府告示第48号(平成3年1月1日施行)
(1)車室を備えず、かつ輪距(4輪車のように2つ以上の輪距を有する車にあっては、その輪距の内、最大のもの)が500mm以下である3輪以上の車。
(2)側面が構造上解放されている車室を備え、かつ輪距が500mm以下である3輪の車。

ミニカーは4輪で、車室を備えていないことを考えると、(1)の規定により輪距が500mm以下であるかという判断になります。
ミニカーは、輪距が500mm以上ですので、「内閣総理大臣が指定する三輪以上のもの」ではなく、「その他のもの」に該当します。
もう一度内閣府令である道路交通法施行規則(昭和三十五年十二月三日総理府令第六十号)を見てみましょう。

道路交通法施行規則
(昭和三十五年十二月三日総理府令第六十号)
第一章 総則
(原動機付自転車の総排気量等の大きさ)
第一条の二  道路交通法 (昭和三十五年法律第百五号。以下「法」という。)第二条第一項第十号 の内閣府令で定める大きさは、二輪のもの及び内閣総理大臣が指定する三輪以上のものにあつては、総排気量については〇・〇五〇リツトル、定格出力については〇・六〇キロワツトとし、その他のものにあつては、総排気量については〇・〇二〇リツトル、定格出力については〇・二五キロワツトとする。

ミニカーは、「その他のもの」に該当しますので、排気量が20cc 又は定格出力が250wが対象になります。
これを道路交通法の第二条十項 原動機付自転車の定義を合わせててみます。

道路交通法(昭和三十五年六月二十五日法律第百五号)
第一章 総則
第二条(定義)
九  自動車 原動機を用い、かつ、レール又は架線によらないで運転する車であつて、原動機付自転車、自転車及び身体障害者用の車いす並びに歩行補助車その他の小型の車で政令で定めるもの(以下「歩行補助車等」という。)以外のものをいう。
十  原動機付自転車 内閣府令で定める大きさ以下の総排気量又は定格出力を有する原動機を用い、かつ、レール又は架線によらないで運転する車であつて、自転車、身体障害者用の車いす及び歩行補助車等以外のものをいう。

道路交通法上、原動機付自転車であるためには、排気量が20cc(又は定格出力が250w)以下であることが求められます。つまり、逆を言えば、道路交通法上、排気量が20cc(又は定格出力が250w)を超えることで原動機付自転車とはなりません。
そして、道路交通法の第二条九項自動車の定義により、原動機付自転車でも、自転車でも、身体障害者用の車いすでも歩行補助車でもないので、自動車に分類されることになるわけです。

道路交通法(昭和三十五年六月二十五日法律第百五号)
第二条(定義)
九  自動車 原動機を用い、かつ、レール又は架線によらないで運転する車であつて、原動機付自転車、自転車及び身体障害者用の車いす並びに歩行補助車その他の小型の車で政令で定めるもの(以下「歩行補助車等」という。)以外のものをいう。

こうして、いわゆるミニカーは、排気量が20ccを超えて、車室がなく輪距が500mm以上を満たすことで、道路交通法上は自動車として扱ってもらうことができるので、運転には普通免許証が必要になり、原付の2段階右折も不要で、原付禁止の道路も入れ、制限時速も時速60kmとなるわけです。
ちなみに、排気量を20cc以下にしたり、輪距が500mm未満に改造したりすると、道路交通法上でも原動機付自転車として扱われることになり、原付バイクと同じ交通ルールが適応されて2段階右折や法定速度30kmが適応されます。
あくまで、ミニカーは排気量が20ccを超えて、輪距が500mm以上であることで自動車として公道を運転できるわけです。

では、ミニカーは道路交通法上で自動車としてあつかわれて、一般道である公道を自動車としてはしれるのだから、高速道路や、自動車専用道路を走れるのかというと、実はそうではなかったりします。
高速道路や自動車専用道路は、別の法律によって定められているのです。
高速自動車国道法第二条第4項を見てみましょう。

高速自動車国道法(昭和三十二年四月二十五日法律第七十九号)
第二条(用語の定義)
4  この法律において「自動車」とは、道路運送車両法 (昭和二十六年法律第百八十五号)第二条第二項 に規定する自動車をいう。

高速道路や自動車専用道路について定めている高速自動車国道法では、「自動車」は道路運送車両法における「自動車」とされています。つまり、道路交通法上で自動車として扱われたとしても、道路運送車両法で「原動機付自転車」として扱われる「ミニカー」は高速自動車国道法では自動車にはなりません。だから高速は走れないのです。

なお、車室がある、または車室がなく輪距が500mm以上であっても、排気量が20cc以下の場合には、道路交通法上も原動機付自転車になります。排気量が20ccを超える場合に道路交通法上の自動車として扱われます。また、車室がなく輪距が500mm以下の場合には、排気量が20ccを超えていても、50cc以下であれば道路交通法上、原動機付自転車になります。